葉室麟さんの『いのちなりけり』読了。
冒頭の場面の咲弥と雨宮蔵人との関わりが読み進むにつれ明らかになっていき,最後にはその冒頭の場面から2人の再生が始まるという構成がうまい。
ただ,水戸光圀,藤井紋太夫,柳沢保明,吉良上野介,熊沢蕃山と有名どころを配置し,さらには助さん・格さん,おまけに八兵衛らしき人物まで登場させたのはちょっと…。
政治権力の道具にされようとなりながらも凜として自分の生き方を貫こうとした2人を描くために有名どころを配置し,その政治権力の大きさと醜さを強調しようとしたのであろうが,はたしてそこまでする必要があったのだろうか。
その結果彼らの人物像が浅くなってしまい蔵人の描き方まで後半は劇画調になってしまった。
葉室さんの筆力なら鍋島本家と小城藩,鍋島家と龍造寺家との確執だけにとどめたほうが深みが生まれたのではなかろうか。
決して悪い作品ではなく十分な読みごたえはあったのだが『銀漢の賦』や『秋月記』ほどの感銘は得られなかった。
03月19日(月)09時16分|葉室麟
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葉室麟さんの『いのちなりけり』を読み始めた。
葉室さんの作品は『乾山晩愁』『銀漢の賦』『秋月記』に次いで4作目。
この『いのちなりけり』は文庫化されたのは『秋月記』の前になる。
『銀漢の賦』も『秋月記』も「男の生き方」を考えさせてくれる名作だと感じたが,この『いのちなりけり』は咲弥と雨宮蔵人という男女それぞれの生き方や心の有り様を描いてくれそうだ。期待通りの序盤。
03月18日(日)10時07分|葉室麟
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さすがに大晦日はバタバタして、昨日今日で『秋月記』読了。武士らしさ、男らしさ、人間らしさ。自分もああいう生き方をしたいなぁ。でも無理だなぁ。だからこそ余韻の残る読後感が得られるんだろうな。
01月02日(月)11時45分|葉室麟
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今日から葉室麟さんの『秋月記』に。葉室さんの作品はまだ文庫化されているものが少なく、これまで読んだのは『乾山晩愁』と『銀漢の賦』だけ。どちらも良かったが特に『銀漢の賦』は時代小説の傑作の一つだろう。
12月30日(金)11時43分|葉室麟
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『こう生きてみたい』と感じさせてくれる快作。中盤から一気に読ませる迫力があった。
葉室さんの作品を最初に読んだのは『乾山晩愁』だった。この作品も味わいのある作品だったが,
今回の『銀漢の賦』はひさしぶりの感動作に出会えた。
03月01日(月)13時42分|葉室麟
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