この作品のひとつのウリは『料理』のはず。
なにしろ主人公は御膳所御台所人,今は一膳飯屋を営んでいるという設定なのだから。
ところが,その肝心の料理,これがいけない。何が?
以前,何かの本で読んだことがある。店の外まで匂いが漂う『ウナギ屋』と,きれいに匂いを始末し外まで匂わない『うなぎ屋』と,どっちが客が来るか。
答えは『匂い』
料理は匂いが命ということ。たしかにそうだと思う。
ところがこの作品,読んでいてもその匂いがしないのである。
いくら旨そうに書いていても,匂わなければそれは料理としての魅力はゼロ。
『みをつくし』シリーズと比べればその差は歴然。
やはり,主人公がどれだけ苦労してきたかどうかの差だろう。
「旨い」と言わせる料理などそう簡単に作れるものではないはず。そのことを理解せずに安易に料理人を登場させる作品は金輪際読むことはないだろう。
04月12日(木)22時04分|荒崎一海
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荒崎一海さんの『しだれ柳』を読み始めた。
一膳飯屋「夕月」を営む晋悟は御膳所御台所人,片桐家の勘当同然の三男坊で妻も子もある境遇。
第1話を読んだ限りでは,この晋悟が「夕月」を舞台に難事件を解決という設定のようだ。
荒崎さんの作品は『闇を斬る』シリーズをたしか4作目まで読んだと思う。1作目2作目はたしかに面白かったのだが,それ以上はちょっときつかった。荒唐無稽の展開になってしまったからだ。つまり読んでいて「ありえないだろう」と思ってしまう。
もちろん小説,しかも時代小説なのだからすべて創造ではあるのだが,明らかな時代考証の間違いやあまりにも非現実的になってしまうと興味が失せてしまう。
今回の『しだれ柳』はどうだろう,主人公が剣の達人過ぎるのが気になるが。
04月10日(火)18時09分|荒崎一海
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