京の町を書かせたら澤田ふじ子さん。江戸の町を書かせたらやっぱり宇江佐真理さん。
どの場面を切り取っても立派な絵になっている。
この作品は6編の短編集。表題作の『富子すきすき』は忠臣蔵がテーマのようだが,これは3作目に登場する。まだ最初の2編『藤太の帯』『掘留の家』を読み終えたばかり。
『藤太の帯』は町娘たちのあいだを巡っていく,俵藤太の百足退治の柄がほどこされた帯の不思議。
『掘留の家』は同じ境遇に育った若者と娘の運命と心憎い結末。
残り4編。読んでしまうのがもったいないような期待感でいっぱいだ。