『勤番武士の心と暮らし』
私の住む町の隣町,そこの郷土史家ご夫妻の作品。
この町の武士が江戸勤番中に家族に書き送った絵入りの手紙を,この武士の子孫が偶然発見し,図書館に寄贈しそれを解読したもの。

こういう作品は,
『元禄御畳奉行の日記』や『下級武士の食日記』さらには『幕末下級武士の絵日記』などがあるが,これらの作品と比べても,当時の勤番武士の暮らしぶりが生き生きと伝わってきそう。

まだ読み始めたばかりなので,十分なことは言えないが,ふんだんに絵が挿入されており,第1級の史料といっていいのかもしれない。
著者のご夫婦は80歳になられるようだが,長年地元の史談会で勉強を重ねた末での出版。その向学心に頭が下がると同時に,なんと素晴らしいライフワークをお持ちなのだろうとうらやましくなってしまう。地元の書店でしか手に入れることができないようだが,メジャーになってもおかしくない本が,ひっそりと「知る人ぞ知る」という本のままでいるのもいいなと思う。
こういう本の性質上,一気に読み上げるというわけにはいかないだろう。少しずつ丹念に読んでいきたい。