国枝外右馬(とうま)という勤番武士が,1年と2ヶ月の江戸勤番中に国元の家族に宛てた手紙集『江戸詰中日記』
これを地元の郷土史家が解読したものだ。
とても興味深く読むことができた。
なかでも一番興味深かったというか,あきれたこと。
44歳の男盛りが単身赴任。しかも花のお江戸。
遊女屋に出入りしたり吉原を冷やかしたり,という場面が出てきて,そりゃまあそういうこともあるだろうと思ったのだが,
「まてよ・・・」これは日記という名は付いていても,実際は家族に宛てた手紙。読むのは奥方。
それなのに,
どんちゃん騒ぎのあと「・・・それぞれの部屋に静まり,型のごとく紙入れ,手ぬぐい,煙草さし,土瓶,お茶,煙草盆と整え,帯と上着は屏風の上へ,これより後のことは筆を止めにしておく・・・」など書いて。
著者も「ここまで事細かに奥方に知らせるのは如何なものかと,江戸時代の感覚が不思議である」と書いているが,私も同感。
「外右馬殿,それはちと如何なものかと」
今で言えば,飲み歩いて最後はソープランドでシメ???
そんなこと,恐ろしくて女房殿に言えるわけがない!
江戸時代が不思議な時代なのか,外右馬殿が不思議なのか,ついでに奥方も不思議なのか。
やっぱり江戸はおもしろい。