by真兵衛
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佐藤雅美『たどりそこねた芭蕉の足跡』読了

佐藤さんの『たどりそこねた芭蕉の足跡』読了。
佐藤さんの作品は,表題作以外にも『大盗人藤八と三人の爆睡』など,作品はもちろんだがそのタイトルも魅力的だ。表題作だけでいえば,このシリーズの『花輪茂十郎の特技』
『縮尻』シリーズでは『首を切られにきたの御番所』
『物書き』シリーズでは『向井帯刀の発心』などなど。

佐藤さんのこの3つのシリーズは,法を忠実に守らなければならない役職。ところが桑山十兵衛の八州廻りという役目は権威を笠に着る悪役になったり,逆に「法で裁けぬ悪を斬る」という正義の暗殺者にもなったりと,いろんな主人公がいろんな小説やドラマに登場してきた。
佐藤さんの十兵衛は,そのどちらでもない本来の司法警察としての八州廻り。必然,当時の法が紹介される。これは『縮尻』も『物書き』のシリーズも同様。

佐藤さんの丹念な資料分析には敬服するし「なるほど,そうだったのか~」と読み手の勉強にもなる。
ただ,その解説的な部分が長くなるとせっかくの楽しいストーリー展開の腰を折られるよな気分になることもある。
佐藤さんの作品の場合,主人公のキャラクターを引き出すためには正確な時代考証や法解釈が必要なのはよくわかるが,作品によっては「くどい」と感じてしまうこともなきにしもあらず。
本作品もややそういう印象をもった。もちろんだからこそ楽しめた面もあるのだが。
真兵衛
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