実は『青に候』の印象が全くといっていいほど残っていなかったので,この作品も実はあまり期待していなかった。ところが,これが読みごたえ十分の作品だった。
飛脚問屋蓬莱屋の飛脚たちや主人が登場するのだが,彼らを主役とするのではなく彼らと関わる人々の生き様を描いている。その描き方に志水さんの愛情が注ぎ込まれていて,4編とも心地よい読後感が得られた。
それにしても,これほどの作品を書いた大ベテランの時代小説デビュー作『青に候』の印象が全く残っていないとはどういうことだろう?
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