私は読みかけのページには栞やスピンを挟んだりせず,ページの下の角を少し折るのが癖になっている(悪い癖ですが)。その折り目がこの本にも何カ所か付いていた。ということはやはり以前読んでいたということが確定。
一気に読んでしまうほどの面白い作品をおぼえていないとは,う~ん,よほど精神的に読書に集中できない時期だったのだろうか?
「あっ読んだことある」とはっきり分かったのが,ラスト近くのクライマックス。火事で中屋敷から避難した園子を必死で探す主人公の姿。「うんうん,こういう場面あったわ」と納得。
お家騒動という武家社会の不条理を軸にしながら友情と恋愛という青春を描き,さらにその切なさと同時に生きることへの希望を感じさせてくれる。
あの日から1年たった3月11日に,良い作品を読めた。