幕末の激動の時代に片田舎に住むが故に,国事に奔走したいと血気にはやる若者たちがいるなか,病気の母を大切にしながらまさに「みのたけ」にふさわしい生き方をしようとする主人公に「春」が訪れるよう応援しています。
いっぽうで不運な友との関係が今後主人公の人生にどのような影響を与えるのか心配にはなります。
この作品の登場人物の数ですが今の時点で34人。歴史小説は多くなって当然ですが,時代小説にしては多いほうだと思います。そこで登場人物や関係をメモしながら読み進めているのですが,それを煩わしいとは感じません。
無駄な人物ではなくみな必然性のある登場だからでしょう。
そういえば「登場人物の多い小説を読むと脳の活性化につながる」という意見を聞いたことがあります。たしかにそうかもしれません。ボーッと読んでいたらたちまちごちゃごちゃになってしまいますから,いやでも集中します。
トルストイの『戦争と平和』の登場人物は559人だそうです。
私も学生時代に読んでみました。ノートに人物名や関係図をメモしながら読んでいくのですが,途中でわけがわからなくなってギブアップ。もう一度挑戦してみたいという気持ちが半分,そうは言ってもまず読むことはないだろうという気持ちが半分です。