「ももた なおき」って誰だろう?って思ったら,
「ひゃくた なおき」さんなんですね。
別の分野で活躍されているそうですが,時代小説しか読まない私は,
百田さんのことをまったく知りませんでした。
したがって,この作品もあまり期待せず,暇つぶしにでもなればと思って読み始めたんです。
ところが,暇つぶしどころか,ぐいぐい引き込まれていくんです。
「これって,藤沢作品?」ていうような錯覚にとらわれるほどでした。
でも・・・・・・。
う~ん,
なんて言うんだろ。たしかに悪くはないんだけど・・・。
いや,それどころか,すっごくいい作品なのに,
読み終わったら何も残らないんです。
本当は感動すべきなんでしょうが。
すっごい意地悪な見方ですけど,
「こう書けば,読者は感動するんでしょ」みたいな,
あざとさを感じてしまうんですよね。
いい作品なんだけど,う~ん,
なぜか,素直に受け入れられないとこが残るんですよね。
なぜだろう,いい作品なのに。
うん,本当にいい作品なんですよ。
どうしても,いい作品に出会うと,藤沢周平と比較するからでしょうか。
それが酷だということは,わかってはいるんですが。
「頭脳明晰で剣の達人。将来を嘱望された男がなぜ不遇の死を遂げたのか。下級武士から筆頭家老にまで上り詰めた勘一は竹馬の友、彦四郎の行方を追っていた。二人の運命を変えた二十年前の事件。確かな腕を持つ彼が「卑怯傷」を負った理由とは。その真相が男の生き様を映し出す」