『仮釈放』という作品でした。
つらかった。
人間って,ひとつ歯車が狂うと,自分の力ではどうしようもできない状態にまでなってしまうんだなって,読むほどにつらくなる作品でした。
骨太の作品が多いですよね。読み手に強いメッセージを残してくれます。
この『雪の花』
綿密に史料を検証し,でも,平易に表現してくれていて,決して知識をひけらかすことのない作家魂を感じます。
日本に種痘を広めた町医笠原良策の半生を描いた伝記的作品で,おすすめです。
ところで,私などが子どもの頃に読んだ本といえば,
ほとんどが伝記というか,偉人伝のような本ばかりでした。
『野口英世』や『エジソン』新しいところで『湯川秀樹』
いま,子どもたちは,こういう『伝記』を読んでいるんでしょうか。
すくなくとも,うちの子どもたちは読んでなかったようです…。
ひとつ間違うと,立身出世伝になりかねませんが,
でも,こういう偉人伝を読むことは大切なことだと思うんです。
人のあるべき姿っていうか,社会の理想というか,
それを知らないまま大人になるって,すっごい危険ですよね。
人生の道しるべがないっていうことですから。
大津の事件から,ふとそんなことを感じました。